COLUMN
コラム 〜マラソン豆知識〜
日々、マラソン大会に向けてランニングトレーニングに励んでいるランナーの皆様の中で、特にベテランナーの方やマラソン大会に良く参加されていて中堅のランナーの方の中には、今回ご紹介する『LT値』という言葉を聞いた事がある方がいらっしゃるのではないかと思います。
マラソンというスポーツは単純に走るに特化したスポーツですが、逆を返せば道具に頼らない自身の身体で勝負するスポーツです。
その中で、自身の身体がメインとなってくるためやはり様々な観点から自身の身体を分析してしっかりと自身の身体を知っておく必要があります。
長い距離を走っている最中に今自身の身体がどんな状況になっていて、これからどんな影響が出てくるのかをあらかじめ知っておくことで最大限にパフォーマンスが発揮できるようになります。
今回はそんなマラソンにおける自身の身体がどんな状況になっているのかを知っておく一つとして『LT値』という物をご紹介します。
ベテランナーの方の中にはすでにご存じの方もいらっしゃると思いますが、これからマラソン大会に出場する方、すでにマラソン大会には何度か出場しているけどいつも苦しくなってしまいなかなかタイムが縮まらない方など、何かマラソンにおいてお悩みがある方は是非参考にしてみてください。
まず先に今回ご紹介する『LT値』についてご紹介していきます。
なかなかマラソンを始めたばかりの方は聞いた事がない方もいらっしゃると思いますが、LT値とは、Lactate Threshold(乳酸性作業閾値)の略称になります。
少し難しいのですが、乳酸性作業閾値とは、有酸素域から無酸素域に切り替わる事で乳酸が急激に溜まり身体にたまり始めるタイミングの事です。このLT値の指標は主に長距離向けのスポーツ、ランニング、マラソン、トライアスロンなどに使用されるものです。
「値」というと数値的な指標のイメージですが、簡単に考えると「乳酸が溜まりだすポイント」としてイメージしたほうがどなたも分かりやすいと思います。
ですので、スポーツ全般のLT値もありますし、日々生活している日常生活の中でもLT値があります。
具体的には、マラソンなど長距離スポーツを行っていて有酸素運動領域から無酸素運動領域に切り替わるタイミングで使われるエネルギーが変わってくる事です。
これをランニングやマラソンに置き換えると、走っている最中に自身のLT値を超えたタイミングで急に体が重くなったり、呼吸が苦しくなる、足に負担がかかってくるなどの症状が現れ疲労を自身で感じるようになります。
このLT値を超えたタイミングで乳酸が一気にたまってくるため、脚にも疲労がたまっていきやすくなるので特に走ることに特化したマラソンのスポーツは自身のLT値を超えないようにうまく調整しながらレース戦略を考える必要があります。
よってこのLT値を理解して、LT値を高めることでマラソンのレースでは有利に動く事となります。
では次に今回ご紹介する、有酸素領域から無酸素領域に切り替わるタイミングの自身のLT値をどうやって把握、計測すればいいのかその方法をご紹介します。
具体的には、マラソンのペースや自身の心拍数を元にしてLT値となる心拍数を簡易的に算出できます。
【LT値の簡易的な算出方法】
LT値=(最大心拍数ー安静時心拍数)×0.75+安静時心拍数
※最大心拍数は『220-年齢』にて算出
上記計算式を用いれば、算出された心拍数に達した時点で有酸素領域から無酸素領域へ変わるポイントがわかるのです。
最近ではマラソンのレース中のも心拍数が測れるスポーツウォッチや、需要が上がってきているアップルウォッチなどでも心拍数などが測れるものもあるので、日々のランニングのときから、心拍数を気にしながら走り算出したLT値を超えないようにレース当日のレース戦略を考えられるようになります。
今回は簡易的な計算式でLT値を算出する方法をお話ししていますが、より詳細に自身のLT値を知りたい方は、専門機関で自身の血液から血中酸素濃度を測る方法もあります。ベテランランナーの中にはここまで徹底して管理をしているランナーもいらっしゃるかと思います。
血液検査ともなるとハードルが高いので、まずは今回ご紹介した計算式にて自身のLT値を算出して目安を把握するようにしましょう。
LT値とは乳酸が溜まり始めるポイントというのは先ほどからご紹介していますが、その中で出てくる、「乳酸」とはなんなのでしょうか?
乳酸という言葉は良く聞くワードだと思いますが、乳酸という物質は、体内の糖質が分解されることにより発生する物質です。
人間の体内の中では糖質をエネルギー源とする、主に各所の筋肉よりエネルギーが生成される際に発生します。
マラソンなどの有酸素運動を行った際には、脂肪を燃焼してエネルギーを作る事ができますが、無酸素運動を行った際には自身の筋肉で糖質を分解することでエネルギーを生成します。
このことから、今回ご紹介しているLT値の有酸素領域から無酸素領域に切り替わるタイミングで乳酸が一気にたまることとなるのです。
ランナーの中には乳酸と聞くと、疲労物質の一つして考えてしまう方もいらっしゃると思いますが、所説ある中で近年乳酸は疲労との関係性はないようです。
体内で乳酸を作る際に発生する水素イオンが筋肉に与える影響や、筋グリコーゲンの減少が疲労の直接的原因だと考えられるようになっています。
乳酸は直接的な疲労への影響は少ないと考えられていますが、LT値を超えることで乳酸がたまり、そのタイミングで疲労がたまってくるということは変わりはない為、自身のLT値を理解して乳酸の影響をしっかりと理解しておくことでレース中に最大限パフォーマンスを発揮できるようになります。
LT値についてご紹介していますが、実際にLT値が向上すれば簡単に考えればそれだけ疲労を感じるタイミングが遅くなるわけなので実際にLT値を鍛える方法はあるのでしょうか?
前提として自身のLT値をしっかりと計算式において確認することが必要です。
そしてその算出したLT値を若干下回るくらいのペース、自身のLT値を超えないギリギリのラインで走るトレーニングがLT値向上には向いています。
マラソンなどの長時間走るスポーツにおいてはどうしても心拍数が上がり切った状態になりがちですが、最大心拍数をMAXまで引き上げない状態で長時間走れるようにすることが最大のトレーニングになるわけです。
最大心拍数をかなり抑えて走るLSD(ロングスローディスタンス)もLT値向上に効果的と言われています。
このLSDは他の記事でもご紹介しているので参考にしてみてください。
今回はマラソンに必要な知識、自身のLT値についてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
あまり聞きなれないワードの事かもしれませんが、マラソンのレース展開を戦略的に行うためには非常に重要な要素の一つとなります。
この自身のLT値を把握することでレース戦略をしっかり練り、トレーニングを行うことでレース当日に最大限にパフォーマンスを発揮できるようになります。
今実際にマラソン大会に出場している方も、これから参加予定がある方、参加してみたいと思っている方も是非参考にしてみてください。
こんにちは☆
— UP RUN実行委員会 (@UP_RUN_tw) December 3, 2024
体を動かして温まるのいいですよね(^ ^)
さて今週のアップランマラソン大会は
7日
第74回スポーツメイトラン赤羽荒川ハーフマラソン
8日
第71回UPRUN新横浜鶴見川マラソン
第69回スポーツメイトラン東大島小松川公園ハーフマラソン
まだお申込み可能☆https://t.co/Vgd4Q7k45n pic.twitter.com/AgkXpVr2KJ