COLUMN
コラム 〜マラソン豆知識〜
日々マラソン大会に向けてトレーニングに励んでいるランナーの中には、自身のBMIを気にされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
マラソンは単なる長距離走ではありません。ペース配分、持久力、筋力、栄養管理、そして「自分の体をどう扱うか」が極めて重要になるスポーツです。特に市民ランナーの間では、走力アップや完走のための「体重管理」や「体型改善」に関心を持つ人が増えており、その指標として「BMI(Body Mass Index)」が注目されています。
BMIは簡単に算出できる肥満度の目安で、健康管理の指標として広く使われていますが、マラソンにおいては「パフォーマンス」や「怪我のしやすさ」とも密接に関係しているのです。
今回は、マラソンとBMIの関係性について、科学的なデータや実際の市民ランナーの傾向を交えながら様々な視点から掘り下げていきます。
マラソンにおける理想的なBMIとは何か?BMIが高すぎたり低すぎたりすることによるリスクとは?
健康的にBMIを調整し、より良いパフォーマンスを引き出すにはどうすればよいか?
これからマラソンに挑戦する初心者はもちろん、タイム短縮を狙う中上級者にも役立つ物なので是非参考にしてみてください。
まずは「BMIとは何か?」から確認しましょう。BMI(Body Mass Index)は、次の計算式で導かれる体格指数です。
BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m)の2乗
日本では、BMIは以下のように分類されています。
BMI値 判定
●BMI値● ●判定●
18.5未満 痩せ
18.5〜25未満 普通体重
25以上 肥満
この指標は簡便ですが、筋肉量や体脂肪率を考慮していないため、スポーツ選手や筋肉質な人は高めに出る傾向があります。とはいえ、マラソンにおいては、体重の増減が走りへの影響をもたらすため、BMIの把握はとても有効な出発点になります。
■マラソンランナーにとっての理想的なBMIとは?
市民ランナーの場合、タイムやパフォーマンスが高い人の多くは BMI19〜21(男性 )・18〜20(女性)の範囲に収まっている傾向があります。これはプロの長距離選手にも共通し、エリートランナーのBMIは17〜19程度と、一般人よりもかなり低めです。
一方で、BMIが高め(23〜25以上)であってもサブ4(4時間切り)やフル完走を実現している人も多数存在します。要は 単に痩せていれば速い、という話ではないのです。
■日本と海外におけるBMIと走力の関係データ
国内のあるデータでは、日本陸連登録ランナーのBMI平均が約20前後。さらに市民ランナーの中でも完走タイムが速い層ほど、BMIが低めという傾向があるという調査結果もあります。
一方、海外の研究ではBMIが1ポイント上がるごとに、マラソン完走タイムが平均して2〜3分遅くなるという統計も。とはいえ、BMIが低すぎると持久力の維持が難しくなり、失速のリスクも上がることが分かっています。
結論としてマラソンにおけるBMIは、単に低ければ良いわけではなく、持久力と筋力のバランスが取れた範囲(19〜21)に保つことが望ましいといえるでしょう。
実際にBMIが高いランナー、低いランナーにどのような影響を及ぼすのかをご紹介していきます。
■BMIが高すぎるランナーに起こりやすい問題
BMIが25以上あるランナーは、マラソン時に次のような課題に直面しがちです。
・膝・足首・腰など関節への負荷増大
体重が着地時の衝撃を増やし、慢性的な関節炎やランナー膝を招く原因に。
・スタミナ切れとペース維持の難しさ
重量が増える分、エネルギー消費が激しく後半で失速しやすい。
・熱中症や脱水症のリスク上昇
体表面積あたりの発汗効率が悪くなり、体温調整が難しくなる。
これらを防ぐためには、まずは安全な体重管理とフォームの見直しが重要です。ウォーキングやバイクトレーニングから始めるのも良い選択です。
■BMIが低すぎるランナーに見られる課題
BMIが17以下で過度に痩せているランナーは、次のような不調を経験しやすくなります。
・エネルギー不足によるスタミナ切れ・集中力低下
・筋肉不足で走行フォームが不安定に
・免疫力の低下による病気・怪我のリスク増
特に女性ランナーでは、BMIが低すぎることで「無月経・骨粗鬆症」など健康問題につながることもあります。
適正なBMIと体脂肪率を維持しつつ、持久力と筋力の両立を目指すことが、結果的に記録やパフォーマンス向上に繋がります。
例えば、BMI24から21へと健康的に減量し、半年後にフルマラソンで30分短縮したという事例や、BMIは変えずに筋肉量を増やしてパフォーマンスを向上させた例も数多くあります。
「BMI」だけでなく「体脂肪率」「筋肉量」「走行距離」「フォームの安定性」などの複合的な要素を見ることが重要です。
■BMI別に見るトレーニングと食事の工夫
●BMIタイプ● ●トレーニングの工夫● ● 食事のポイント●
25以上 ウォーキング 低負荷のLSD 糖質と脂質を控え、タンパク質多め
22〜24 ビルドアップ走・インターバル 主食は適量、間食減らす
19〜21 筋トレ+スピード練習も追加 高たんぱく+十分なエネルギー補給
18以下 ウエイトトレーニング重視 エネルギー&脂質もしっかり摂取
25以上 ウォーキング、 低負荷のLSD 糖質と脂質を控え、タンパク質多め
BMIが高めな人は、まず筋肉量を減らさず脂肪を落とす意識で、有酸素と筋トレを組み合わせることが鍵です。
一方、BMIが低めな人は、トレーニングでさらに痩せないよう、しっかりと食べて栄養を補給しながら「走れる筋肉」を作ることが重要です。
■体脂肪率・筋肉量も重視する
BMIと並行して意識したいのが「体脂肪率」と「筋肉量」です。同じBMI21でも、体脂肪率30%と15%ではまったく体型が異なります。理想は以下の通りです。
男性ランナー:体脂肪率15~18%
女性ランナー:体脂肪率20~25%
体脂肪率が高いまま走ってもパフォーマンスは上がりにくいため、見た目や数値のバランスで“中身の詰まったBMI”を目指しましょう。
■マラソン初心者が最初に意識すべきこと
初心者の方は「BMIをまず落とさなきゃ」と焦るよりも、無理なく運動習慣をつけることが優先です。特にBMIが24〜26程度ある場合は、まずは「歩く」「ストレッチを習慣化する」「短い距離を継続する」ことが安全かつ効果的です。
また、クッション性の高いシューズ選びや、週1〜2回の筋トレ習慣も、怪我防止・走力向上に繋がります。
今回はマラソンとBMIの関係性についてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
BMIは、数字だけで見るとシンプルな体重と身長の関係に過ぎません。しかし、マラソンにおいてはこの「数値」が、あなたの走りやすさ、スタミナ、怪我のしやすさに大きく関わってくるのです。
理想的なBMIは一般的に19〜21前後。
高すぎても低すぎても、それぞれにパフォーマンス上のデメリットがあることは科学的にも実証されています。
しかし、重要なのは 「BMIだけにとらわれない視点を持つこと」。体脂肪率や筋肉量、フォーム、練習頻度、回復力など、多角的に自分の身体を見つめ直すことで、本当に“走れる体”を作ることができます。
健康的なトレーニング、バランスのとれた食事、そして継続する意志。これらを積み重ねることで、あなたのBMIは自然とマラソン向きの理想に近づいていくはずです。
「理想の自分」に近づくための一歩として、今日からBMIを“味方”につけてマラソン大会に臨んでみましょう!
こんにちは
— UP RUN実行委員会 (@uprun_twx) August 25, 2025
8月の花はひまわり、花言葉は栄光。
栄光輝ける出来事はありましたか?
さて今週のアップランマラソン大会は
30日
第175回スポーツメイトラン皇居マラソン
31日
第7回スポーツメイトラン新横浜鶴見川ハーフマラソン pic.twitter.com/uBNn6PC91o