COLUMN
コラム 〜マラソン豆知識〜
マラソン大会に向けて日々練習に励んでいる特にベテランランナーの中には、『VO2max』『VDOT』という言葉を聞いた事がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
すでにベテランランナーの中には実践しているランナーもいるかと思いますが、言葉は聞いたことがあるけどイマイチ内容がよくわからない、自分にはまだ関係ないなどと感じている方もいらっしゃると思います。
ですが、ベテランになればなるほど両者についてはタイムの更新を目指す場合マラソンと切っては切れないものとなります。
今回はそんな『VO2max』その重要性と『VDOT』との関係性についてご紹介していきます。
以前UP RUNの記事でも少し『VO2max』について触れてご紹介したことがありますが、より詳しく、VDOTとの関係性についてもご紹介していきます。
言葉は聞いた事があるけどそこまで内容がまだ分からないベテランランナーの方はぜひ参考にしてみてください。
VO2max(最大酸素摂取量)は、運動中に体が消費できる最大酸素量を示す指標であり、ミリリットルの酸素を体重キログラムあたり毎分(ml/kg/min)で表されます。これは、持久力を測る最も重要な生理学的指標の一つであり、特にマラソンランナーにとって非常に重要です。高いVO2maxは、運動中により多くの酸素を効率的に使用できることを意味し、持久力パフォーマンスの向上に直結します。
VO2maxとマラソンとの関係性については、マラソンランナーにとって、VO2maxはレースパフォーマンスに大きな影響を与えます。高いVO2maxを持つランナーは、長時間にわたり高いレベルのエネルギー生産を維持できるため、速いペースで走り続けることができます。VO2maxが高いほど、乳酸が蓄積する前により高い強度で運動を続けることができるため、持久力が向上します。
【VO2maxの測定方法】
VO2maxは専門的なスポーツ医学施設や研究所で測定されることが一般的です。
測定には以下の方法が使用されます。
・トレッドミルテスト
徐々に速度と傾斜を上げながらランナーが走り続け、酸素摂取量を測定する。
・自転車エルゴメーターテスト
自転車に乗り、負荷を徐々に増加させながら酸素摂取量を測定する。
これらのテスト中に、ランナーはフェイスマスクを着用し、呼吸ガス交換を測定することでVO2maxが計算されます。
その他の簡単な計測方法については別の記事でもご紹介しているので参考にしてみてください。
【VO2maxの向上方法】
VO2maxを向上させるためのトレーニング方法は以下の内容が主に考えられます。
・インターバルトレーニング
高強度の運動と休息を交互に繰り返すトレーニング方法です。例えば、3分間の高強度ランニング(90-95%の最大心拍数)と3分間の低強度ランニングを交互に行います。この方法は心肺機能を強化し、VO2maxの向上に効果的です。
・持続的高強度トレーニング
一定の高強度で長時間走るトレーニングです。例えば、10-20分間のランニングを高いペース(80-90%の最大心拍数)で行います。これは持久力を向上させ、VO2maxの増加に寄与します。
・クロストレーニング
ランニング以外の運動(サイクリング、スイミングなど)を取り入れることで、全身の持久力と心肺機能を向上させます。これにより、過剰なランニングによる怪我を防ぎつつ、VO2maxを高めることができます。
VO2maxはマラソンランナーにとって重要な指標であり、その向上はレースパフォーマンスの向上に直結します。インターバルトレーニングや持続的高強度トレーニング、クロストレーニング、適切な回復と栄養を通じてVO2maxを効果的に向上させることが可能です。科学的なアプローチを用いてトレーニングを計画し、VO2maxを最大化することで、マラソンにおける目標達成に近づくことができるでしょう。
VDOTは、ジョギングやランニングのパフォーマンスを評価するための指標で、特にジャック・ダニエルズ(Jack Daniels)博士が提唱したトレーニング方法に関連しています。これはランナーの持久力と効率性を測定するための指標で、VO₂ max(最大酸素摂取量)に基づいていますが、単に最大酸素摂取量だけでなく、そのランナーの競技力をも反映しています。
【VDOTの定義と意味、トレーニング方法】
VDOTは、ランナーの競技成績や練習の強度を決定するために使用されます。VDOTの数値が高いほど、ランナーの持久力が優れていることを意味します。
この指標は以下の要素を考慮して計算されます。
・最大酸素摂取量(VO₂ max)
・ランナーのペース
・ランナーのレースタイム
また、VDOTを利用することで、適切なトレーニング強度やペースを設定することができます。ジャック・ダニエルズの方法論では、以下のようなトレーニングゾーンが提案されています。
・Easy(イージー)ラン:
低強度で、リラックスしたペースで走る。回復や持久力の基盤作りに最適。
・Marathon Pace(マラソンペース)ラン:
マラソンを走る予定のペースでトレーニング。耐久力と持久力を高めるために使用。
・Threshold(閾値)ラン:
やや高い強度で、乳酸が溜まらないギリギリのペースで走る。乳酸閾値を高めるために重要。
・Interval(インターバル)トレーニング:
高強度で短い距離を走り、その後に短い休息を挟む。心肺機能とスピードを向上させるため。
・Repetition(レペティション)トレーニング
インターバルトレーニングに似ていますが、より短い距離で、スピードに焦点を当てる。フォームとスピードを改善するため。
【VDOTの計算方法】
VDOTを計算するには、まず特定の距離でのレースタイムが必要です。これを元に、ジャック・ダニエルズの表や計算式を使ってVDOTを算出します。計算されたVDOTに基づいて、各トレーニングゾーンのペースが決定されます。
参考例)
例えば、10kmを40分で走った場合、VDOTを算出し、以下のようなトレーニングペースが設定されるかもしれません:
イージーラン:5:30/km
マラソンペース:4:30/km
閾値ペース:4:00/km
インターバル:3:45/km
レペティション:3:30/km
このように、VDOTを用いることで、科学的で効果的なトレーニングプランを立てることができます。
ここまではVO2maxとVDOTについてご紹介しましたが、初めは同じような事に感じるかもしれないVO2maxとVDOT、それぞれどのような関係性があるのかをご紹介します。
結論として、VO2maxとVDOTは密接に関連していますが、それぞれ異なる目的と使用法を持っています。
【VO2max】
・生理学的な最大酸素摂取量を測定する指標。
・持久力パフォーマンスの潜在能力を示す。
・専門的な測定設備が必要で、トレーニング中の直接的な指標としては使いにくい。
VO2maxの向上にはインターバルトレーニングや持続的高強度トレーニングを通じて、最大酸素摂取量を増加させることが可能です。
クロストレーニングや適切な栄養・回復もVO2maxの向上に寄与します。
【VDOT】
・VO2maxに基づいた実用的な指標。
・実際のレースタイムに基づいて計算される。
・トレーニングペースや強度を設定するために使用される。
・ランナーの競技力を反映し、日常的なトレーニングに役立つ。
VDOTを使ってトレーニングペースを正確に設定し、効率的なトレーニングを実現します。
個々のトレーニングセッションの目的に応じた適切な強度を維持することで、持久力とスピードのバランスを最適化します。
VO2maxとVDOTを理解し、それぞれを活用することは、マラソンランナーのパフォーマンス向上に、特にベテランナーになればなるほど不可欠となってくるでしょう。
まとめ
今回はマラソンにおけるVO2maxとVDOTについてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
VO2maxは持久力パフォーマンスの潜在能力を示す重要な生理学的指標であり、VDOTはそれを基にした実用的なトレーニング指標です。両者を理解し、適切に活用することで、マラソンランナーは自身の競技力を最大限に引き出し、効果的なトレーニングを行うことができます。VO2maxの向上とVDOTを用いたトレーニングプランの策定により、持久力とスピードを高め、マラソンにおける目標達成に一歩近づくことができるでしょう。
こんにちは(^^)
— UP RUN実行委員会 (@UP_RUN_tw) November 18, 2024
今日は運動したくなる程冷えますね...
お風邪にお気をつけください
さて今週のアップランマラソン大会は
23日
第196回UP RUN皇居マラソン
第73回ポーツメイトラン赤羽荒川ハーフマラソン
24日
2024渡良瀬遊水地オータムマラソン
まだまだお申込み可能☆https://t.co/Vgd4Q7k45n pic.twitter.com/clK6XDfA9R