COLUMN
コラム 〜マラソン豆知識〜
日本には春夏秋冬があります。さまざまな気温、気候の中、大会に向け日々のランニングやトレーニングに取り組んでいることと思います。
マラソン大会も、気候がいい時期や天気がいい日に開催されるとは限りません。
恐らくそれなりに走りこんでるランナーさんは承知の上かと思いますが、いつでも、どこでもベストな状況のときと同じように走れると思ってしまう事、それは間違っているかもしれません。
当然のことですが、とても暑い日、天気が悪い日や湿気が多い日に憂鬱な気分になったりと、人間の体は天候・気温によって心身への影響が出やすく、パフォーマンスがまったく変わってきます。
いつも走りこんでいるランナーさんも、「今日は調子が悪いな」「なかなかタイムが出ない」などと感じた場合、体調の要素ももちろんありますが、実は気温が高かったり、風が吹いていたりするのが原因だったりもします。
では、天気、天候によってどれだけ人間の体、主にランナーにはどのくらいの影響があるのか。今回は『気温』にフォーカスして紐解いていきます。
寒い中の冬のランニングや暑い中の夏のランニングなど、さまざまな環境下の中でランナーさんは日々トレーニングをしていらっしゃるかと思いますが、天気・天候はほんとに関係あるのでしょうか?
結論から言うとずばり「気温はマラソン、ランニングに大きな影響を与える」です。
そこで気になるのは、気温とタイムの関係です。感覚的には、暑いよりは寒いほうが好タイムが出そうな気がしますが、実際はどうでしょうか。
2012年に「フルマラソンの記録に影響する環境要因」(Impact of Environmental Parameters on Marathon Running Performance)という学術論文が発表されました。
この学術論文では、ベルリン、ボストン、シカゴ、ロンドン、ニューヨーク、パリの6つのマラソン大会において、気温、湿度、気圧などとマラソンのゴールタイムの関係を分析しています。対象になっている人数はなんと約180万人、かなり大規模な調査です。
この調査では、フルマラソンのタイムに最も大きな影響を与える環境要因は「気温」であると結論づけています。とはいえ、マラソン大会当日の気温がベストな中走ることが出来るとは限りません。すなわち、自身の体をいろいろな環境下の中で適応させていく事が重要な要素となってきます。
では、日々のトレーニングに最適な気温は何度なのでしょうか。
学術論文では、走力別にベストパフォーマンスを発揮できる気温を男女別に割り出しています。たとえば「フルマラソンの記録の目安が3時間30分の男性」では「6.02℃」といった具合です。
総合的に見た時には同論文によると、「概ね6~8℃が最適」ということです。
結構低めですが、調査した大会の出場者の多くが欧米人であることも考慮する必要があるかもしれません。
では、マラソン大会に向けての日々のトレーニングに最適な気温って実際どのくらいなのだろう・・・というと、個人の感覚でそれぞれ異なるところもありますが、15℃とも、10℃以下とも言われています。これくらいの気温だと、走るときに発生する熱を空気が冷却してくれるので、体の外に放散させやすいのですね。
ということは気温からみたら、春、秋はマラソン大会に向けての日々のランニングにおいては比較的体は適合しやすく、トレーニングの段階からタイムも高記録がでるかも知れません。氷点下になる真冬も、気温が高い時間帯を考慮すれば、比較的走りやすい気温の中トレーニングに望めることでしょう。
気温から見た時に気をつけなければいけない季節としては『夏』があげられます。
近年では、日中の気温が40度まで上がることはそう珍しくはありません。
とはいえ、夏場の時期にトレーニングをサボってしまうと秋に開催される大会に万全の状態で臨むことが出来なくなる可能性があります。
では、夏場のトレーニングにおいて気をつける点は何なのか。次は、夏場のマラソン大会、ランニング、トレーニングにおいての注意点を紐解いていきます。
マラソンやトレーニングを行うときの気候で一番気をつけなければいけない季節としては、やはり夏です。
梅雨明けは天気もよく、青空の下マラソン大会に向けて日々のトレーニングに臨みたくなりますが、それに伴い気温も上昇してきますので注意すべきことはたくさんあります。
気温が高い中で走る際、注意すべき点は一番に「熱中症」が挙げられます。
平均的なマラソンにおける熱中症の指針では、21℃でも熱中症には起こり得るので注意が必要としています。実際のところは気温だけでなく、湿度や気流も影響してきますが、一旦ここではわかりやすいように気温を指標としています。
ちなみに、23℃を超えるようなときはペースダウンを意識し、トレーニング不足の方は走ることを中止したほうがよいでしょう。
31℃以上では熱中症の危険が極めて高いとされているため、日々トレーニングに励んでいる方でも要注意です。
熱と太陽が体の体温を上げることも忘れてはなりません。特にアスファルトの上でランニングをするときは、照り返しもありますので気温より体感温度は高くなります。
体が温かくなりすぎたら、走るのがより難しくなるのは当然です。普段と同じペースで走っていても、自覚的運動強度はいつもよりつらく感じます。
湿気が増えて蒸発の効率が下がると、脱水症状を起こす割合が高くなり、いつもよりゆっくり走らざるを得なくなってしまいます。これが真夏のトレーニングの現実です。
・暑さによるけいれん
発汗による水分と電解質不足で筋肉はけいれんします。トレーニング中に起こることも、走った後に起こることもあります。ひどいもの以外ですとそんなに深刻ではないので心配は入りません。スポーツドリンクやバナナなどによる水分補給と電解質補給を行いましょう。
・脱水症状
脱水症状についてはよく知られています。運動による水分減少は4%まで安全とされていますが、それを超えるとめまい、疲労、精神不安定を感じ始めます。
このような状態にならないためにも、走り始めるときには十分な水分が体内にある状態で始めること、そして運動後には失われた水分を直ちに補給することです。走る前後の体重の計測比較でどのくらいの水分が失われるか知ることができます。
・熱疲労
暑さの中で過度なトレーニングを行うと、熱疲労になるかもしれません。これは脱水症状、頭痛、むかつき、摂氏40度を超える体温症状を伴います。暑さに対応できないランナーにみられる一般的な症状です。
その際は走るのをやめて、日影に入り、冷えた水を飲んで、冷房に当たって体温を下げてください。そして、次回からは午前中など早めの時間帯に走るように心がけましょう。
・熱射病
この症状が出てきたら大変危険です。体幹温度が40度5分を超えた状態です。
症状はふらつき、震え、混乱、バランス喪失、発汗停止を伴います。緊急の処置が必要で、冷水に入る、冷気に当たる、冷水を飲むなどの対処が必要です。
夏の暑い時期は、しっかりした準備、注意意識をもって行うのでなければ、キツいトレーニングや長距離を走ることに向いていません。
対策としては下記のようなことに気をつければ、トラブルなくランニングやマラソンに望めるでしょう。
・ペース重視ではなく、いつもとは違った取り組み方を
暑さの中で走ることは、感覚で走ることのよいトレーニングになります。ペース重視ではなく、いつもとは違った走り方、つまり「時間」や「努力」を目安にしてみてください。距離とペースを目安にしないようにしましょう。
・時間帯を考えてみる(ランニング)
夏の暑い時期、走るのに適した時間なんてありません。しかし早朝であれば、気温は比較的低く、強い日差しも避けられます。湿気がもっとも高い時間帯でもありますが、日中の暑さに比べれば走りやすい時間帯です。
・走る場所を考えてみる
アスファルトやコンクリートは熱を吸収し、弱くしおれた体に容赦なく熱を返します。夏場はトレイルに力を入れるのがいいでしょう。トレイルでは少しゆっくり走らなければなりませんし、多くの日影が体温の上昇を防いでくれます。
・メンタル面でも柔軟に対応しよう
夏場になるとニュースなどで熱中症レベルを発表していますが、もし暑さに対する注意報が出ている場合は、長く走ること、速く走ることは危険なので極力避けましょう。
暑さに対する注意報が発令されていなくても、通常の夏の気候で走るのが何故そんなに難しいのかを思い出してみてください。努力のレベルを一定にし、低いペースでも落胆しないことです。
・暑さの影響を受けやすい服装を考えてみる
夏場の過酷な状況のなかでは服装がモノを言います。正しい服装を選びましょう。ポリエステルなどの化学繊維はほとんどのランニングウエアに使われているので、なるべく素材に注意して選んでください。
気温が高いと、走ることによるエネルギーで生まれる熱と相俟って、体温もより上がりやすくなります。体温が上昇する=消費するエネルギーも多くなります。
日頃の練習量や、性別、個人によっても体温調節の機能そのものが異なるため、正確な数値を出すのは難しいのですが、体温が一度上がることによって、エネルギー消費量は(1日で)約150~200kcal上昇するといわれています。
トレーニング前やマラソン大会前の食事で、炭水化物(ごはんやパン、パスタなど)を十分に摂っておくことが重要です。
しっかり炭水化物や脂肪がエネルギーに変わるように、ビタミンB群を多く含む肉(とくに豚肉)や魚、緑の濃い野菜なども忘れずに食べるようにしましょう。
さらに、気温が高い夏場は通常よりもプラスアルファでエネルギー補給が必要となります。ランニング中の補給食も摂取したほうがいいでしょう。
走る前から水分補給、走り出したら定期的に給水にすることを忘れないでください。
夏場に気温が高くても低くても当然なのですが、気温が比較的高い日では、積極的に水分補給をする必要があります。
走ることによって上がった体温を下げるときに必要なのが「水分」です。この水分が不足した状態だと体温調節機能も上手く働きません。日頃の水分補給はもちろんですが、大会などでは1~2時間前から500mlのペットボトルを少しずつでもいいから飲むこと、大会が始まったら給水所ごとに必ず給水し、もちろん終了後の水分補給も忘れないようにしましょう。
今回は主にマラソン、ランニングに影響する気温について詳しくお伝えして参りました。重ね重ねになりますが、一番気をつけなければいけない季節は夏です。
夏場のトレーニングはあまりメリットがないように思えます、ですが…
マラソン大会当日の気温を、当然ながら自分でコントロールすることは出来ません。実は夏場のような過酷な状況下でランニングやトレーニングをすることで、どんな状況下のマラソン大会でも速く走れるようにもなれます。
人間の体は状況に順応するものです!夏の猛暑の中、トレーニングをするメリットはそこにあります。
・血液が体の中心から皮膚へと循環し、熱を放散できるようになる血液が皮膚に集中することで、筋肉には十分な酸素が回らないようになる。
・体幹体温をコントロールしながら体はより状況に適応して行き、一度順応が出来ると体温は上昇しなくなる。
・比較的低い体温でも発汗作用が始まるようになり、体を冷やすシステムをより向上させる。発汗する汗のなかの塩分はより少なくなり、電解質パランスを失わない。
(正しい食事と水分補給が必要)
上記のような順応によって、自身の体のパフォーマンスが上がり、どんな状況下のマラソン大会でも一層早く走れるようになる可能性もあります。
暑さに順応することで得られるメリットもありますので、暑さに向き合ってランニング、マラソンに挑みましょう。
身体と心、両方の順応性を利用して夏の苦しい練習を乗り切ることで、どんな季節の大会でもベストなタイムで走ることが出来るようになった。
・・・そんな、変化していく自分に驚くかもしれませんね。
こんにちは
— UP RUN実行委員会 (@UP_RUN_tw) December 16, 2024
今日は良いことがあり嬉しい一日のスタート☆
さて今週のアップランマラソン大会は
21日
第63回UPRUN府中多摩川風の道マラソン
第55回スポーツメイトラン松戸江戸川河川敷マラソン
22日
第20回UP RUN東大島小松川公園マラソン~長距離特別ver~
第164回スポーツメイトラン皇居マラソン pic.twitter.com/ya9AfzFJMJ