COLUMN
コラム 〜マラソン豆知識〜
日々マラソン大会に向けてトレーニングに励んでいるランナーの中には、プロネーションとオーバープロネーションという言葉を聞いた事がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
マラソンは長時間・長距離にわたって同じ動作を繰り返すスポーツであり、膝や足首、腰などにかかる負荷は非常に大きくなります。そのため、走るための筋力や心肺機能の向上だけでなく、足の動きや体重のかかり方にも注目する必要があります。特に「プロネーション」という足首の回内動作は、走行中の衝撃吸収や安定性に直結しており、ランナーにとって理解しておくべき重要な要素です。
プロネーションは自然な動作であり、衝撃を吸収する役割があります。しかし、過度な回内、すなわち「オーバープロネーション」は、膝や足底の障害、腰痛などの原因となり、長距離走におけるパフォーマンス低下や慢性的な痛みのリスクを高めます。自身のプロネーションタイプを理解せずに走り続けると、せっかくのトレーニング効果も最大限に発揮されないことがあります。
今回は、プロネーションの基礎知識からオーバープロネーションが引き起こす問題、セルフチェック方法、そして具体的な対策までを包括的に解説します。
初心者から中級者、さらには競技志向のランナーまで、誰もが活用できる情報をまとめています。正しい知識と対策を身につけることで、ケガを予防しながら効率よくマラソンを楽しめるようになるので是非参考にしてみてください。
今回は、プロネーションとオーバープロネーションについてご紹介しましすが、まずはプロネーションとは何かからご説明します。
プロネーションとは、足首が内側に倒れる自然な回内動作のことです。ランニングでは、足が地面に接地した際にかかとから外側に衝撃が伝わり、その後足のアーチがしなることで衝撃を吸収します。この動作により、膝や腰への負担を軽減し、スムーズな走行を可能にします。
プロネーションは3つのタイプに分けられます。
・ニュートラルプロネーション
標準的でバランスの取れたプロネーション。衝撃吸収が適切で、膝や腰への負担も少なく、理想的なタイプです。
・オーバープロネーション
足首が過度に内側に倒れるタイプ。アーチが過度に崩れるため、膝や腰に不自然な負荷がかかり、怪我のリスクが高まります。
・アンダープロネーション(スピネーション)
足首がほとんど内側に倒れず、外側に体重がかかるタイプ。衝撃吸収が不十分で、足底やふくらはぎに負荷が集中しやすくなります。
プロネーションは単なる癖ではなく、ランニング効率やケガ予防に直結する重要な要素です。
ここまではプロネーションについてご紹介しましたが、ではオーバープロネーションとはどのような事を指すのでしょうか?
オーバープロネーションは、足のアーチが過剰に崩れることで生じる負荷の偏りが特徴です。主に以下の症状が見られます。
・膝の内側の痛み(ランナー膝)
膝関節が内側にねじれる力が強まり、膝の内側や腱に負荷がかかります。
・足底腱膜炎
足底のアーチが過度に崩れ、足底筋や腱膜に炎症が生じやすくなります。
・シンスプリント(脛骨過労性障害)
足首の回内過多で下腿部の筋肉に負荷が集中し、脛骨周辺の痛みを引き起こします。
・腰痛や股関節痛
足元の不安定さが膝・股関節・腰に連鎖し、慢性的な痛みにつながることがあります。
長距離ランナーに多く見られる症状であり、特にマラソン大会中に急に現れることもあります。
オーバープロネーションには、遺伝・体格・生活習慣・ランニングフォームの癖が影響します。主な特徴とプロネーションタイプのチェック方法をご紹介していきます。
【なりやすい人の特徴】
・扁平足(アーチが低い)
足のアーチが低いと衝撃吸収時に足首が内側に倒れやすくなります。
・内股気味の走り方
膝や足先が内側に向く走り方は回内を助長し、膝や股関節への負荷を増やします。
・柔軟性の低い足首やふくらはぎ
衝撃吸収の安定性が不足すると、過剰なプロネーションが起こります。
・長時間・長距離の走行習慣
足部への累積負荷が大きくなることで、徐々にオーバープロネーションが顕在化します。
【プロネーションタイプのチェック方法】
■自宅でできる簡易チェック
・足跡チェック
濡れた足で紙やタオルに足跡をつけます。内側まで接地している場合はオーバープロネーションの可能性。
・かかと観察
後ろからかかとを見ると、内側に傾いている場合は注意。
・立位でのアーチ観察
足のアーチが過度に潰れていないか確認。
■専門店でのチェック
・ランニングシューズ専門店の歩行・走行分析
高速度カメラや圧力センサーで接地パターンを分析。
・フットスキャンや3D分析
足形状やアーチの高さ、衝撃吸収の度合いを数値化し、シューズ選びやインソール作成に活用。
では実際にオーバープロネーションにできる限りならないようにするための対策を最後にご紹介していきます。
対策①:シューズ選び
シューズ選びはオーバープロネーション対策の基本です。
・安定性重視のランニングシューズ
ミッドソールに補強があり、足の内側への倒れ込みを抑える構造のシューズを選びます。
例:サポートタイプ(スタビリティシューズ)
・インソール・オーダーメイドインソール
足のアーチを支え、回内を補正する効果があります。軽度~中度のオーバープロネーションに有効。
・適切なサイズとフィット感
サイズが合わず、つま先やかかとが浮くと補正効果が得られません。専門店での試着が推奨されます。
■対策②:フォーム改善
・膝・股関節の位置を意識
内股や膝の内側への倒れ込みを抑え、真っすぐ前に押し出す感覚を意識。
・着地の工夫
かかとから着地する場合も、内側に倒れ込みすぎないように軽く外側から接地するイメージ。
・ピッチを上げる
1歩のストライドを短く、ピッチを上げることで過度な回内動作を減らせます。
■対策③:筋力トレーニング
・足首周囲の安定筋
前脛骨筋、後脛骨筋、腓骨筋の強化が内側倒れを防ぎます。
・ヒップ・股関節の筋力
中臀筋や大臀筋を鍛えることで、膝や足首の安定性が向上。
・足部アーチの補強
タオルギャザーやつま先立ち運動で足底筋を鍛える。
オーバープロネーション対策ばかりに気を取られると、逆にアンダープロネーション(外側重心)も見落としがちです。外側に体重がかかるタイプでは、衝撃吸収が不十分となり、足底やふくらはぎの疲労、膝・腰への衝撃が増加します。
自分のプロネーションタイプを正確に把握し、それぞれに合った対策を取ることが大切です。
今回はプロネーションと主にアンダープロネーションについてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
マラソンにおけるプロネーションは、単なる足首の動きではなく、膝・股関節・腰への負荷や走行効率に直結する非常に重要な要素です。
ニュートラルプロネーションが理想ですが、オーバープロネーションやアンダープロネーションの傾向を持つランナーは少なくありません。特にオーバープロネーションは膝痛や足底腱膜炎、シンスプリントなどのリスクを高めるため、早期の理解と対策が不可欠です。
長距離を走るマラソンでは、わずかな足の歪みも累積的に大きな影響を及ぼします。自身の足を正しく理解し、日々のトレーニングに適切な対策を組み込むことは、怪我の予防だけでなく、マラソンパフォーマンス向上のための最も基本的で重要なステップです。
プロネーションに対する正しい知識と実践を身につけ、快適で安全なマラソンライフを目指しましょう。
こんにちは☆
— UP RUN実行委員会 (@uprun_twx) September 1, 2025
9月もアップラン、スポーツメイトランをよろしくお願いいたします。
9月1日の誕生花は桔梗。花言葉は誠実、感謝。
日々、感謝の気持ちは忘れずにいたいです。
さて今週のアップランマラソン大会は
6日
第3回UP RUN彩湖ハーフマラソン
7日
第80回UPRUN市川江戸川ハーフマラソン pic.twitter.com/MtvqOWc1os