COLUMN
コラム 〜マラソン豆知識〜
日々マラソン大会に向けてトレーニングに励んでいるランナーの皆さんの中には、マラソンの最中に急におなかの調子が悪くなってしまった経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
マラソンや長距離ランニングを行う際、ランナーが経験する可能性のある不快な症状のひとつが「下痢」です。マラソンやランニング中の消化器系のトラブルは非常に一般的で、多くのランナーが一度は経験したことがあるとされています。
特に「ランナーズ・トロッツ(Runners’ Trots)」と呼ばれる現象は、ランニング中や直後に突然起こる下痢や腹痛、急激な排便欲のことを指します。
今回はマラソンと下痢の関係について、そのメカニズム、影響、予防策などをご紹介します。
過去の経験がある方や、心配なランナーの方はぜひ参考にしてみてください。
ランナーズ・トロッツ(Runners’ Trots)とは、長距離ランニング中または直後に起こる下痢や強い便意のことを指す俗称です。特にマラソンや長距離トレーニングを行うランナーによく見られる消化器系のトラブルであり、突然の腹痛や急激な便意を引き起こし、場合によっては競技の中断を余儀なくされることもあります。
マラソンや長距離ランニングによって引き起こされる下痢には、いくつかの要因が関与しています。これらの要因は身体的、環境的、さらには栄養的なものであり、それぞれが消化器系にどのように影響を与えるかが重要です。
まず先になぜマラソン中に下痢になりやすいのかその原因をご紹介していきます。
・消化器系への血流の減少
運動中、とくに激しい有酸素運動を行う際、身体は筋肉へ優先的に血液を供給しようとします。このめ、消化器系への血流が制限され、消化器官の働きが低下することがあります。これにより、消化がうまく進まず、胃腸の内容物がうまく移動せずに下痢を引き起こす原因となります。特にマラソンのように長時間にわたる運動では、この現象がより顕著になります。
・腸の運動亢進
ランニング中の身体的な揺れや振動は、腸の動きを促進する可能性があります。この腸管の運動が過度に活発になると、便が通常より早く直腸へ到達し、完全に水分が吸収されないまま排出されるため、下痢の症状が出ることがあります。また、運動によって自律神経が刺激され、腸管の運動が促進されることも下痢を引き起こす要因の一つです。
・栄養摂取と水分バランスの乱れ
マラソンや長距離走に挑むランナーは、エネルギー補給としてジェルやスポーツドリンクを使用することが多いです。しかし、これらの食品や飲料に含まれる糖分や電解質が腸に負担をかける場合があります。特に、高濃度の糖類や人工甘味料が含まれていると、腸内で浸透圧が高まり、水分の吸収が妨げられ、結果として下痢を引き起こすことがあります。
さらに、長距離ランニングでは大量の水分を消費しますが、水分補給が不十分な場合や、逆に過剰な水分摂取が行われた場合も腸内のバランスが乱れ、下痢を引き起こすリスクが高まります。
・ストレスや精神的要因
マラソンのような大規模なイベントに参加する際、多くのランナーが緊張や不安を感じます。心理的ストレスは消化器系に大きな影響を与えることが知られており、特に不安や緊張が高まると腸の働きが異常に活発になり、下痢を引き起こすことがあります。また、大会や競技のプレッシャーも消化器系の異常を引き起こす要因の一つです。
ここまではマラソン中に下痢になってしまう原因をご紹介しましたが、マラソン中に下痢が発生すると、ランナーのパフォーマンスに大きな影響を与える可能性があります。次に、下痢になってしまった場合の具体的な身体への影響についてご紹介していきます。
・水分・電解質の損失
下痢によって失われるのは水分だけではありません。電解質(ナトリウム、カリウムなど)も同時に失われるため、脱水症状や電解質異常を引き起こすリスクが高まります。これにより筋肉のけいれんや疲労、さらには意識障害などの重篤な症状が発生することもあります。マラソン中に十分な水分補給が行われない場合、これらのリスクがさらに高まります。
・エネルギー不足
下痢が続くと、身体が必要とする栄養素やエネルギーが十分に吸収されない状態に陥ります。特に長時間の運動を要するマラソンでは、持続的なエネルギー供給が重要ですが、下痢によりエネルギーが失われると、パフォーマンスの低下や疲労感の増加につながります。
・精神的ストレスの増加
マラソン中に下痢の症状が現れると、身体的な不快感だけでなく、精神的なストレスも増加します。突然のトイレへの衝動や腹痛は、ランナーにとって大きな焦りや不安を引き起こし、レースに集中できなくなる要因となります。また、トイレに駆け込む必要が生じた場合、タイムロスも避けられません。
ここまでは原因と身体に与える影響についてご紹介しましたが、一番は下痢にならないように予防することが重要です。マラソン中に下痢を防ぐためには、いくつかの対策を講じることが必要になってくるので次に具体的な予防策をご紹介していきます。
・食事の調整
マラソン前の食事は、下痢を予防するために非常に重要です。レース前の数日間は、脂肪分や食物繊維の多い食事を避け、消化に優しい食事を心がけましょう。特に、大豆や乳製品などの食品は、一部の人々にとって消化が難しい場合があるため、レース前には避けた方が良いかもしれません。また、レース当日には食事のタイミングにも注意し、走る前に大量の食事を摂らないようにしましょう。
・水分補給の管理
マラソン中の水分補給は重要ですが、過剰な水分摂取も腸に負担をかける可能性があります。特に、レース中に一気に大量の水分を摂ることは避け、小まめに少量ずつ摂取することが推奨されます。また、スポーツドリンクの選択にも注意が必要で、高濃度の糖分や添加物が含まれているものは避け、身体に優しい成分のものを選ぶことが大切です。
・トレーニング中の腸の慣れ
長距離ランニングによって腸に負担がかかるため、レース当日だけでなく、普段のトレーニングでも腸を慣らすことが重要です。トレーニング中に適切な水分やエネルギー補給を行い、レース中に摂取する予定の食品や飲料を試すことで、腸がそれに適応できるようにします。特に、消化に負担をかけにくい食品やドリンクを見つけることが大切です。
・ストレスの管理
マラソン中の精神的なストレスは、下痢を引き起こす大きな要因の一つです。特に大会や重要なレースに参加する際には、リラックスした状態でスタートできるよう、事前にリラックス方法を学んでおくことが役立ちます。呼吸法や瞑想、十分な睡眠など、リラックスを促す手段を活用して、レース当日に不必要な緊張を避けることが効果的です。
・便意を抑える薬の使用
一部のランナーは、マラソン中の下痢を予防するために、市販の下痢止め薬を使用することがあります。例えば、ロペラミド(Loperamide)などの薬剤は腸の動きを抑制し、下痢を防ぐ効果が期待できます。しかし、薬の使用は個人差があり、予期せぬ副作用が生じる可能性もあるため、事前に医師に相談することをおすすめします。
どんなに上記でご紹介した予防策を行ったとしても発症してしまう場合ももちろんあります。下痢の症状が現れた場合、どのように対処すればよいのでしょうか?まず、無理をせず、適切な対応を取ることが重要なので最後に対処法をご紹介します。
・トイレ休憩を取る
急激な便意を感じた場合、無理に走り続けるよりも一度トイレ休憩を取ることが賢明です。大会中であっても、コース上に設置されているトイレを利用することで、症状を悪化させずに済みます。
・水分補給と電解質補充
下痢によって失われた水分や電解質を補給することが大切です。スポーツドリンクや電解質を含む補給食を活用して、身体のバランスを回復させましょう。
今回はマラソンやランニング中におなかをこわしてしまい下痢になってしまう原因と影響、予防策についてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
マラソン中に下痢が発生する要因は多岐にわたりますが、適切な準備と対策を行うことで予防が可能です。食事や水分補給、精神的な準備、トレーニング中の腸の慣れを大切にし、健康な状態でレースに挑むことが重要です。
こんにちは(^^)
— UP RUN実行委員会 (@UP_RUN_tw) November 18, 2024
今日は運動したくなる程冷えますね...
お風邪にお気をつけください
さて今週のアップランマラソン大会は
23日
第196回UP RUN皇居マラソン
第73回ポーツメイトラン赤羽荒川ハーフマラソン
24日
2024渡良瀬遊水地オータムマラソン
まだまだお申込み可能☆https://t.co/Vgd4Q7k45n pic.twitter.com/clK6XDfA9R